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「 よッ ちょいツラ貸せ 」  鎌丁政道はレジカウンターの20代半ばの長髪の男に言った。春と呼ぶにはまだ早すぎる2月の肌寒い1日だった。 「 えっと カマナントカさんでしたっけ 」  レジの男はノンネクタイでヨレヨレの黒のスーツ姿の一見チンピラ風の鎌丁に飄々と答える。 「 鎌丁(かまひのと)だ 呼び難いから鎌チョでいいぞ お前は前角(まえずみ)だよな 」 「 サハラかササハラのが まあ下のユウリでいいっすよ 」  レジカウンターの男性店員はこの店の経営者で店長の前角悠吏。鎌丁はこの男に以前何度か会っている。  この店は以前瑞浪空(みずなみそら)がアルバイトをしてたことのある店だ、瑞浪空はこの国のテロリストグループ ”あらがいの団” を率いたリーダーだった。鎌丁は百目奇譚(ひゃくめきたん)と言うオカルト誌の記者として前角悠吏に取材をした事がある。 「 ややこしいんだよ だいたい何なんだお前は 」 「 それより失踪したんじゃなかったんす 」 「 なんでお前が知ってる 」 「 月夜君が言ってましたよ 」 「 なんでその名前が出てくんだよ 」     
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