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突然の名前に鎌丁は動揺する。鳥迫月夜は鎌丁の15年来の同僚である三刀小夜の今は亡き親友の忘れ形見で、小さな子供だった時から三刀が時折 編集部に遊びに連れて来ていたのだ。見かけによらず子供好きな鎌丁は以前から親しく接して来た。今は見違えるほどの美少女に成長している。鳥迫月夜は百目奇譚の発行社 百目堂書房の経営者でもあるトリオイ製薬現会長鳥迫秀一の孫娘でもある。
「 だってウチの看板娘だから 」
「 まさか月夜ちゃんのバイトしてる胡散臭いコンビニってここか 」
「 胡散臭いって ウチは健全な営業がモットーのセブンスマートチェーン加盟店なんすから 」
「 そのセブンスマート自体聞いたことがないんだよ そもそも実在するのかよ 」
「 東京はウチだけっすけど関東だと13店舗あるらしいですよ 」
「 結構あんだな って ンな話ししに来たんじゃねぇよ いいからツラ貸せ 」
「 いやいや 僕 今お店一人なんすけど じゃあ上で待っててもらえます これ3階の鍵です 」
「 連れがいんだがいいか 」
「 いいですよ 」
渡された鍵を手に鎌丁は店舗の横にあるコンクリートの階段を上がる、かなり古いビルのようだ、階段脇の壁にはひび割れが目に付く、どうやら2階は居住スペースになっているようだ。
最上階の3階に着き 鉄の大きな扉を渡された鍵で開けた。
「 なんだこりゃ 」
そこは剥き出しのコンクリートの柱も無いワンフロア丸々ぶち抜かれた広いスペースなのだが、そこには黒い鳥居を構えた黒い社があった。社には雨倭頭巳神社と書かれてある。ウワズミと読むのだろうか。
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