6 愛に包まれる女、愛を誓う男

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「はぁ……」 私はイスの背もたれに寄りかかって体を後ろに反らして伸びをした。 「お前らもそろそろじゃないの?」 「何言ってるんですか……全然無理ですよ」 今の直矢さんと私は結婚なんて考えられない。それどころか私は振られてしまうかもしれないのに。 「武藤は真面目に考えてるだろ」 「武藤さんの方が考えてないですよ」 私は自虐的に笑う。山本さんは首を傾げた。 「だって昨日指輪はどこで買ったのか聞かれたぞ」 「え?」 「婚約指輪。武藤が俺にどこで買ったのか聞いてきた。だから武藤も戸田と近々結婚を考えてるってことだと思ったんだけど」 私は驚いて山本さんを見つめた。冗談を言っているわけではなさそうだ。山本さんはいつものいたずらをする子供のような笑顔ではない。珍しく真面目な顔だ。 「それは私とじゃないかも……」 相手は結婚を考えた元カノってことは十分にあり得そうだ。 「バカかお前」 山本さんは呆れた顔で私に言い放った。 「武藤は戸田以外の女なんて眼中にねーんだよ」 山本さんの言葉に私は反論したくなった。 「山本さんが知ってるはずないです……」 二人は仕事上のライバルで性格も仕事のやり方も何もかもが違うんだから。お互いのことに興味があるはずがない。 「武藤が言ってたんだよ。戸田とは未来を見据えて付き合ってるって。俺と武藤よく飯食いに行くから」 「え? そうなんですか?」 「俺らは周りが思うほど仲悪くないから。戸田と付き合い始めてからはあんまり行かなくなったけど。でも武藤が言ってたのはホント」
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