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直矢さんは当たり前だと言わんばかりに微笑む。私は驚きのあまり言葉が出ない。
「ここは会社からも近いし大型スーパーも病院もあります。もちろん動物病院も」
「あの……直矢さん……」
「はい」
私は横に座る直矢さんを見た。
「私、一緒に住んでもいいんですか?」
この言葉に直矢さんはキョトンとした。
「何を言ってるんですか。当たり前ですよ。美優は僕のそばにいないとだめなんです」
そう言うと直矢さんは立ち上がりソファーに座る私の前に立つと、その場で膝をついて私の両手を取った。
「僕は未来を考えています。僕と美優と犬と、今後増えるかもしれない家族を」
嬉しすぎて目を閉じた。大型犬と遊ぶ子供を二人で眺める未来の想像をするのは容易だ。直矢さんとなら明るい家族が作れるだろう。
直矢さんは片手を離してジーンズのポケットに手をやった。中から取り出した何かを手に握り締める。
「この先の人生を美優と生きていきたい。だから僕と結婚してください」
握った手を開くと驚く小さな箱が手のひらに載っている。ジーンズのポケットに入っていたなんて思わないほどの。
私からもう片方の手を離して箱を開けた。私に向けて開けられた箱の中にはダイヤが嵌め込まれた指輪が入っている。
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