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「たしかに『自分』という一人称の女子高生は少ないとは思いますが、それほど珍しいわけではないんじゃないですか?」
別に私もいつも「自分」と言っているわけではない。この距離感をなんとなく察して欲しい。
「あ、ごめんごめん。ムっとした?」と花井さんが言った。
少しね。でも顔には出さない。プロだから。
「でもいつもスマイル0円の山本さんのそういう表情、初めてみたな。面白いね」
「別に私も普段からスマイル0円てワケじゃないですよ。あくまでプロですから。プロだからそういう表情をしているだけです」
失礼します、と言って駐輪場へ向かう。あまり感じ良くなかったかな、先輩だもんな、と少し反省。ちょっぴりね。
ダイヤル式の鍵をカチリカチリと回す。冬の吐息が白い。
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