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「そりゃあそうさ。エンジン止まったらただの押し車だよ」
そんなことを言いながら、喫茶店。
少し奥まった席に、花井さんと二人。もしかすると、良いムード?
「少し警戒されてるかもしれないから言っておくと、ホントにおしゃべりしたいだけでさ。多分だけど、テニサーってことで警戒……してる?」
そこまでお見通しだったとは、という頭の仲が表情に出ていたらしく「参ったなあ」と花井さんが頭をポリポリ書く。
「さっきも少し言ったけどさ。なんていうか、大学生でもそんなに『プロ』意識のある人っていないんだよ。でも僕は結構そういうのに興味があってさ」
「まあ周り見てもそんな感じしますもんね。良いか悪いかは別として」
花井さんが言っていることは私も常々感じていることだ。のんびりおしゃべりをしながら仕事をする方々。別に誰とは言わないけれど、そういう人は一定数いる。
「でもいいんじゃないですか? 時給の分働けば」
そう返すと、眉をピクりと上げる花井さん。役者がかってるな。サマにはなってるけど。
「それは意外な意見だね。山本さんはそういうの、気になると思ってたけど。そうでもない?」
――ふうむ、確かに。意外に気にならない。
なぜだろうか。自分に問う。
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