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「いやあ、そこまで言っていただけると中々嬉しいというか、プロ冥利に尽きますね」
ぐへへと頬が緩む。誰だって私だって褒められて悪い気はしない。褒めて伸びるタイプ、山本です。ヨロシクっ。
「そう。そのプロ冥利なんだ。プロっていうのは金を貰ってなんぼだと僕は思っている」
「でも私もお金貰ってますよ」
うーん、と首を捻るロダン花井。やっぱりサマになる。
「そうじゃないんだよ。労働の対価として適切な金額を貰っていないことを僕は気にしているわけだ。いや、本人がいいならそれでいいのか……」
疑問の迷宮に片足を踏み入れている花井さん。だから、
「私は別にいいと思いますけどね。それがプロってもんじゃないですか?」
と助け船。私のために頭を捻ってくれている。山本、感謝感激雨あられ。
「なんとなく違う気がするんだよな。プロっていうのは価値を出してなんぼだと思ってるんだけど、山本さんは明らかに室井さんより価値が出ている。ここまでは間違いないんだ」
「はあ。でもそれって証明できますかね? そりゃあ室井さんより働いている気はしますが」
「そう、そこなんだよ」ムっと花井さんが顔を上げる。眉間には随分な皺。「証明できないんだ」
「お客さんの満足度とかは?」
「データとってるワケじゃないし、把握できない」
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