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足音
私がストラップを埋めてから3年が経った。時が過ぎ、薄れ始めてきた彼との過ごした日々を、あの桜を見ることでなんとか繋ぎ止めている。彼の顔と性格は鮮明に覚えていても、声や彼との何気ない会話はどんどん消えかけていき、それが怖くて凄く寂しくて堪らなくなる。
「桜の木は君が居なくても綺麗に咲くんだよ?でも、私は君が居ないといつまでも咲けない。だから...」
-リーン... -
「じゃあ、満開の花を咲かして枯れた後も一緒に埋まってくる?」
あぁ、彼のくれた鈴の音と懐かしい声がする。
「埋めるのは嫌だけど、一緒ならいいわよ。」
嬉しさと腹立たしさと色々な感情が交じりあいながらも私は声の主に振り向いた。
「急に居なくなってごめんね。これからは一緒にいよう。」
優しく笑う彼に私もつられてしまった。
「もちろん!」
桜の木の下には思い出を-
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