幽霊屋敷の一夜

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 ここは「幽霊屋敷」。  そうして。  ここから出ることができない、おれの「檻」で「監獄」だ。  これから先ーーずっとそうなのだ。  この家は廃屋だ。いつかは取り壊される。建てなおされる。  けれど、おれはその時。解放されるのだろうか。  いや。「悪意」が「ここ」を支配しているのならば。  更地になっても。  新しい住宅が建って。新しい住人がやってきても。  やはり「ここ」にーー縛りつけられるんじゃあないのか。  影のように誰にも存在を知られることなく。  道端にへばりついたガムみたいに、カケラも意識されることなく。  自分からは、何ものにも接触できないまま・・・・・・。  そうだとしたら?    おれは怖い。  おそろしい。  このことを考えると。  「完全無欠」「あいまいさがカケラもない」ーー救済皆無の、未来の可能性を考えると。  孤独が、おれを押しつぶす。  あれだけ他人を見下し孤高をきどっていたこのおれに。無限の孤独が容赦なく襲いかかってくる。  どんなバケモノや怪奇現象よりも、くらべものにならない「恐怖」が襲いかかってくるっ!  気が遠くなるほどの時間。泣こうが喚こうが未来永劫。  ずっと・・・・・・おれは  ・・・・・・・・・・・・ここに  ・・・・・・・・・・・・  おれは喉も裂けよと絶叫する。  けれど、分かっている。  おれの叫びは、誰にも聞えはしない。  どこにも届きはしないだろう。  あの夜のおれが。静けさのなか、退屈しきっていたそのように。  おれの「死体」を回収していった連中が、無反応だったそのように。  それでもおれは夜昼となく叫び続ける。  この蟻地獄の底で。  今、この瞬間も。
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