2/8
前へ
/8ページ
次へ
 17歳だった。  彼の横顔がすきだった。  正面から見ると少し目が離れてて爬虫類顔なのだけど、横顔になると端正なシルエットで見惚れたんだ。  私はいつも黒板を眺める振りをして君を見つめていた。  目が悪いくせに眼鏡をかけるのが嫌いなのが同じで、私たちは席替えの時に前の方の席を譲ってもらうグループにいた。  だからいつも近くの席。なぜか隣にはなかなかならない斜めの間柄。  少し猫背にノートに書く背中、細いシャーペンを時々回す指先、真剣になると唇をとがらす仕草、遠くを見る時目を細める癖。そんな毎日を見られるのが嬉しかった。  でも、彼はいつも男子に囲まれてバイクの話で盛り上がっていたから、あまり話しかける機会はなかったんだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加