886人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
「ああ。
しかも エクソシストって、教会の命で動くんだろ?
悪魔に憑かれたヤツを祓うにも、確か 最初は
患者を病院に行かせたりするんじゃねぇの?
その辺りは厳しいみたいだぜ。
闇雲に、やたらと祓わねぇだろ」
そう言ってみたが
榊は まだ そっぽを向いている。
「じゃがのう... 」
玄翁は、黒い前脚で 枯れ葉の下の地面を少し掻き
まだ不安な眼で話し出した。
「この国に宣教師がやってきた頃のことじゃ。
教えを広げることが 勿論の目的ではあるが
其奴らは、渡った場所の経済や教育の水準を上げるよう 尽力もした。
疫病などが流行らぬよう 衛生にも努めた。
そして それは、宗教上の教えによる
利他的な精神に依るものじゃった。
人々は奴らに感謝し、徐々に受け入れるようになり、やがては改宗する者も増えていった」
確か、15世紀頃だよな。
フランシスコ・ザビエルが、ヤジロウとかいう日本人に この国の存在を聞いて布教に来たのが最初で
その後、他にも
何人かの宣教師たちが渡って来たらしい。
開港していた長崎で、教徒の規模を目の当たりにした
豊臣秀吉は、自分達より力をつけられるのを恐れ
キリシタン追放令を出している。
これが、後の鎖国にもキリシタン弾圧にも繋がっていった。
また時を経て、明治の頃になると
日本が再び開港しても
『我らの宗教を否定するなど』と
諸外国に相手にされなかったようだ。
それで日本は また考えを改めだした... と
昔 学校で習った時に、朋樹から教科書にない補足まで聞いた事を うっすら思い出した。
朋樹の実家は神社なので、自然と他宗教にも興味が湧くらしい。
最初のコメントを投稿しよう!