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「なんかさぁ、賭けれる って聞いたんだけど
ここ?」
整った顔立ちは 日本人離れしているが
外国人というほど濃くはない。
中途半端な長さの髪は黒く
耳や首にかかる毛先には軽い癖がある。
シャープな頬のせいか、全体的には すっきりとした印象だが、二重瞼の黒目がちの眼で
甘く見える顔立ちをしている。
すっとした鼻の下には、端が引き締まっている口。
モテそうなヤツだな...
明るい話し方に 人懐こい印象を受ける。
「ああ、ポーカー だけど」
オレが答えると、男は
さっきまでガキが座っていたイス... オレの向かいに座った。
ガキが置いていった泡が消えたビールが そのまま目の前にあるが、特に気にならないようだ。
「じゃあ、ちょっと遊んでもらおうかな。
あ、後で友達が来るけど。
なんか 特別なルールとかあんの?」
「いや、特には」
オレの返事に、男は明るい顔で笑った。
「あ、マジでー? よかったぁ。
オレ あんまり賢くないからさぁ」
そう か?
言葉通りには見えないが...
歳は オレと同じ20代後半くらいに見える。
「お姉さん、きれいだね」
男は 榊に眼を向けていた。
「お兄さんの彼女?」
ふと榊に眼をやると、榊は あいまいに笑顔を作っていた。その表情に少し引っかかる。
何か警戒しているのか?
「ああ、こいつは サカキってんだ。
オレは 泰河」
男の質問に、肯定にも否定にもならない答えを返した。
まあ、そう見えるだろうな。傍から見れば。
もっとも そういう設定ではあるし。
「ふうん、いいよなぁ 美人って。
オレも自己紹介しとこかな。
ルカっていいまーす、よろしくー」
男... ルカは、オレに眼を移して
また屈託のない笑顔を見せる。よく笑うヤツだ。
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