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「んじゃ、そろそろ遊んでもらおっかなー。
榊さんが カード切ってくれんの?」
「ん? ああ、差し支えなければ」
オレが答えると「全然! お願いしまーす」と
テーブルに置きっぱなしのビールを飲んだ。
「うん。ぬるいね、まずっ!」と
声を出して笑っている。
なんか 調子狂うぜ。
単に 根っから明るいだけなのか...
カードを配った榊に「ありがと」と言い
カードを見て「んー... 」と考えている。
その間に、榊が ルカのカードを読む。
榊によると、カードに表も裏もないらしい。
こいつには カードを裏返した状態のまま
表が全部 見えるそうだ。
ある晩、オレの部屋で
明樹... 幼馴染みで仕事仲間 と
トランプをしていた時に
「何をしておる? 何が楽しいのだ?」と
不思議そうに聞く 榊に、逆に質問して
このことが発覚した。うん、これは使える。
と、いうわけで、本業が暇な今
こうして小銭稼ぎをしている。
榊は、読んだ相手のカードを 幻視を見せる要領で
オレのカードに重ねて見せる。
オレも ルカも ワンペアだな。
迷う手の時も、オレがチェンジすべきカードには 榊がバツのマークを浮かせる。
榊が カードをきる場合でも 相手がきる場合でも
山のカードの並びは、上から下まで全部
榊の思うままにしている。
どういう原理かは知らないが
「何、最初から手を決めて、札に命を出せばよい」と 言っていた。
札... カードを、相手がきる場合も
あらかじめ榊が決めたカードの並びに従って
カードに きらされているらしい。
最初は自然に見えるよう、4回中 3回は
相手にも勝たせ
その後、あまりデカい手にはならないよう
気をつけながら回収していく。
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