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「じゃあ、三枚変えよっかな」
ルカが 三枚カードを捨てた。
「オレも」
結果、どちらも ワンペアだが
ルカの方が数がデカいので ルカの勝ち。
財布から 一万抜いて、ルカに寄越した。
「えっ、そうなんだ」
ルカは眼を丸くして、一万円札とオレを見比べている。
「ああ、言ってなかったっけ?
ここで やめてもいいぜ」と軽く肩をすくめると
「いや、おもしろいじゃん」と、ルカは またぬるいビールを飲んで、ジーンズのポケットから
財布を取り出し、テーブルに置いた。
五度目のゲームの時だった。
「ルカ」
両手にグラスを持った男が、ルカの後ろに立った。
どうやら ルカの友達らしい。
テーブルに着くまでに、人を避けきれずに肩がぶつかり「あっ、ごめんなさい」と謝ったりしていた。
背は、180あるオレと... たぶんルカとも同じくらいあるが、ガタイがいいオレや 多少鍛えてそうなルカとは違い、細く、全体的に やんわりした印象を受けた。
アッシュブロンドの柔らかそうな髪に
薄く明るいブラウンの眼。
白人、だな どう見ても。
オレら黄色人種と 色も顔の造りも違う。
「ジェイド、おまえ 遅せーし」
ルカが振り返って そいつに言うと
「こいつ、おれのツレで、ジェイドね。
最近イタリアから来たんだけど... 」と
オレらに向き直り
「ん?」と、榊の方を見た。
つられてオレも、隣に座る 榊を見る。
榊は、眼を見開いて ジェイドを凝視し
ドアへ走り、店から出て行った。
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