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********* 「おい 榊、おまえ どうしたんだよ?」 店を走り出た榊は、昨夜は棲み処の山から下りて来ず、一夜 明けて こっちから山に入った。 榊は 元の狐の姿で、山の頂上付近の大きな楠の根元に 小さく丸まっていた。 「急に帰っちまいやがって... 」 オレ、あれからルカに かなり負けたしさ... 近くに寄って、しゃがんで話しかけても 榊は丸まったまま、顔を自分の腹にうずめている。 これは おかしい... 病気なのか? いや、榊は妖狐だ。 病気やら なにやらとは 無縁なはずだ。 一緒に来た朋樹に眼を向けてみた。 「榊」 朋樹が 榊に呼びかけながら、クリーム色の背に そっと手を置く。 「なんか、怖かったのか?」 榊は びくっと背中を震わせた。
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