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パプリカやトマト、ブロッコリーなんかで 色鮮やかなミニサラダ。 マッシュルーム入りのデミグラスソースがかかった ハンバーグやら ライスやらを ほんの10分かからずに食い終わった ルカは 「ふう、うまかった」と、一人 落ち着いている。 沙耶ちゃんが 多少 焦りながらサイフォンをセットし アルコールランプに火を点けた。 「オレさぁ、すぐ腹減るんだよね」 皿が下げられたカウンターに頬杖をついた。 ルカの背後を 朋樹が ちらっと見る。 ... なんか いるのか? まあ、オレには見えねぇけど。 そういや榊も、なんか そんなようなこと言ってたな。影がどうとか。 「ルカくん、で いいのよね? こんなこと聞くのは 失礼かもしれないけど ルカくんて、純日本人なの? はっきりした顔立ちしてるわよね」 コーヒーカップの用意をしながら 沙耶ちゃんが聞くと ルカは「ん? ハーフだよ」と答えた。 「母親がイタリア出身で、父親がこっち。 あ、泰河、昨日 オレといた ジェイドってヤツ あのどんくさいヤツ覚えてるだろ?」 「ああ。お前の隣で、ずっと ぼんやりしてたヤツだろ?」 榊が言うには、そいつが祓魔師らしいが。 「はじめまして」と流暢な日本語で言って 会釈した、昨日のそいつを思い出す。 あの見た目からはどうも、エクソシストというのが イメージ出来ない。 雰囲気は穏やかで、何にしてもノンビリしているように見えた。 「あいつもハーフだよ。 父親がイタリアで、母親がアメリカなんだ。 あ、従兄弟なんだよね、オレら。 ジェイドの父親が兄で オレの母親が妹ね」
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