某月某日

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血がじわ、と滲んだかとおもうとぽたぽたと零れる。皮膚を伝う感覚が気持ち悪い。自分でも叫ばなかったのが不思議なくらいだ。 「ヨハネスさんって意外に頑丈。これは期待できそうです」 「なんで……目的は……」 下を向きながら呻くように呟くと、髪を引っ張られて無理矢理上を向かされる。 「三日前」 「……は?」 最初の、機械じみた感情のこもっていない声と表情で短く告げられる。 「規約に違反した。だから処分する」 「ま、待て、三日前? 規約? 何の話だ、それは」 「気付かないのか。『上層部の屑め。早く俺をBにあげりゃいいものを』」 少年が言った言葉に血の気が引く。 「あなたは、そんなことは言ってはいけないと止めた部下も殴ってこう言った。『うるさい、お前をDに落としてやろうか』と」 「った、確かに! たしかに私はそんなことも言ってしまった! だがそれは」 「自室……27-465だったから許されるとでも思ったか? それとも規約の内容を忘れたのか?」 ヒュッ、と息が喉で疼いた。なぜ。なぜばれている。そして誰だ、この目の前の男は。普通の少年は、軍にいる少年でも、こんな凍てた眼と声はできない。 「あーあ、そのまま耐えていれば、黙っていれば。あっさり死ねたかもしれないのに」     
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