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「汐璃は……この仕事が好き?」
「うん、好きだよ。編集部みたいに作家さんに会ったり、新しい本を作ったりする仕事じゃないけど、その分、たくさんの本をたくさんの人に知ってもらうお手伝いが出来るの。
新刊だけじゃなくて、既刊の本でも、ちょっとした工夫で売上げが上がったりするんだよ。それって、もっと多くの人にその本が届いたってことなの。すごいことだと思わない?
私たちが何もしなかったら、その本はその人と一生出会うことがなかったかもしれないんだよ。そういう出会いの場を、本屋さんと一緒に作ってくの」
幸せな仕事だと思う。
学生の頃に抱いていた夢は、忘れなくてはならないけれど、こうして働くことのできる私は、過ぎるほど幸せなはずだ。
「……そうか。君が幸せに働いていることが分かって良かったよ」
言葉とは裏腹に、ジョーの笑顔はどこか寂しそうに映った。
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