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清谷書房に着くと、ジョーは編集部に顔を出すのかと思いきや、一緒に営業部にやって来た。
「ただいま戻りました」
部屋の入口で声を掛けると、中にいた人たちが一斉にこちらを向く。
え、何?
いつもなら、「お疲れさま」って声をかけてくれるのに。
ジョーと顔を見合わせた一拍の後、口々に何か叫びながら、部屋中の人が押し寄せてきた。
「先生っ! 大変ですっ!!」
「窪田っ! すごいことになってるぞ!?」
騒ぎを聞きつけてやって来た課長も部長も興奮している。
何とかみんなを宥めて話を聞きだすと、ジョーの写真が出てから、相当な話題になっているのだと言う。
「先生のポスターやサイン本がないか、書店から問合せが殺到しているんだ」
「マスコミから、取材の依頼も相次いでいるし」
営業部は忙しそうにしていたけれど、明朝イベントの仕事が入っているジョーを気遣って、私たちは帰るようにと言われた。
「それなら、寄り道をしていこうか」
ジョーが行きたい場所があるなら、私は構わない。
私の仕事に付き合わせるばかりで、ジョーはまだ日本を全然楽しんでいないのだから。
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