秘密のサイン

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「近くにお薦めのお店はありますか?」 「色々ございますよ。このまま行かれるのでしたら、あまり改まった所でない方がよろしいでしょうね」 「そうなんですか?」 「ええ。浴衣は、略装ですからね」 ジョーと店員さんの話を聞き流している内に、いつのまにかジョーがすぐ傍に立った。 「他に欲しいものは?」 「ないよ」 「そろそろ行こうか」 「あ、お金……」 「もう支払いは済んだよ」 お店の人と美容師さんに見送られて、お店を出る。 「こんなに高いもの、払ってもらうわけにはいかないよ」 「汐璃の家に泊めてもらってるんだから、このくらい安いものだよ」 「そんなわけには……」 ジョーは、有無を言わさず、私の手を取ると歩き出す。 「せっかくだから、少し歩こうか」
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