748人が本棚に入れています
本棚に追加
「近くにお薦めのお店はありますか?」
「色々ございますよ。このまま行かれるのでしたら、あまり改まった所でない方がよろしいでしょうね」
「そうなんですか?」
「ええ。浴衣は、略装ですからね」
ジョーと店員さんの話を聞き流している内に、いつのまにかジョーがすぐ傍に立った。
「他に欲しいものは?」
「ないよ」
「そろそろ行こうか」
「あ、お金……」
「もう支払いは済んだよ」
お店の人と美容師さんに見送られて、お店を出る。
「こんなに高いもの、払ってもらうわけにはいかないよ」
「汐璃の家に泊めてもらってるんだから、このくらい安いものだよ」
「そんなわけには……」
ジョーは、有無を言わさず、私の手を取ると歩き出す。
「せっかくだから、少し歩こうか」
最初のコメントを投稿しよう!