プロローグ

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そのジョーも、2週間の滞在で私以外の友だちもでき、私の入っているESS部の活動にも積極的に参加してくれた。 中学校も3年目。 部活の引退や高校受験のプレッシャーも、まだ差し迫っていなかった。 退屈していた生活を、ジョーの存在は激変させた。 朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って。 授業を受けて、部活に出て、家に帰って。 テレビを見て、宿題をして、妹と遊んで。 ジョーがいるだけで、日常の全てが新鮮だった。 それも、明日までのこと。 ジョーは、明日帰国してしまう。 家族で何度も行ったことのある水族館で涼みながら、ジョーは色んな話をしてくれた。 アメリカでの学校のこと、ジョーの家のすぐ傍にある海辺のこと、2週間過ごした日本のこと。 私もたくさん話した。 もうすぐ始まる期末テストのこと、夏休みにある部活の大会のこと、家族で行った旅行のこと。 そして、ジョーと出会って生まれた、私の夢のこと。 ジョーと並んでイルカのショーを見ながら、私は漠然と将来に想いを馳せた。 私と比べて、少し幼いように映るジョーは、瞳をキラキラさせてイルカのプールに見入っている。 「汐璃、すごいね……なんていうか……すごい」 「……うん」 興奮を抑えて私に囁いたジョーは、もどかしそうに口を開閉しながら、そう言った。 「本当は、言いたいことがたくさんある」 「うん」     
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