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プロローグ
梅雨の晴れ間の7月初め、私とジョーは、最後のお出かけをした。
いつも一緒だった妹は、風邪で母とお留守番。
父は、急な休日出勤。
家族で出かけるつもりだったから、友だちもいない。
一日中ジョーと二人きりなのは、その日が最初で最後だった。
ジョー──ジョゼフ・早見・オリヴェイラは、中学3年生。
私と同い年のアメリカ人の男の子だった。
中学1年生の頃から、学校の授業の一環で私と文通をしていたジョーは、これも学校行事として行われたホームステイで、我が家にやって来た。
初対面の、それも外国人の男子とうまくやっていけるかなという心配は、全くの杞憂だった。
私と同じくらいの背のジョーの体重は、明らかに私より軽く、ヘーゼルカラーの私より淡い瞳を繊細に揺らす姿は、男の子だという感じがしなかった。
お母さんが日本人のジョーは、簡単な日常会話なら日本語でできた。
けれど、とてもシャイで、私や家族とはすぐに打ち解けてくれたものの、学校ではずっと心細そうにしていた。
2年間文通を続けて、気心の知れている私を頼りにしてくれ、ことあるごとに「汐璃」と、小さく私の名前を呼んだ。
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