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俺には何が起こったのかさっぱり理解できなかった。
「一体何だってんだ!『ご縁がなかった』だと?!ふざけんな!俺は内定が貰える会社を辞めて試験に来たんだぞ!あの女も何だ!ちょっと昔の事、蒸し返しただけで……」
そこで俺はハッと気がついた。
「しまった……!あいつとつき合ったのはやり直したんだっけ。だから俺の事を知らないみたいだったし、料理の話で怒ったんだな。そうか、それなら今度試験会場で会っても知らんぷりしてれば良いんだよ」
冷静になった俺は明日に備えて……いや、もう一度やり直す今日に備えて眠りについた。
試験会場で彼女の姿が目に入ったが、知らないふりをした。
「俺は色々知ってるんだけどなぁ」
そんな事を考えていると、余程下品な顔でニヤニヤしていたらしく、隣の席の奴が怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
面接の順番がやってきて、俺は部屋に通された。
「失礼します」
マニュアル通りに入室し、試験官達に頭を下げた。
「あっっ!」
頭を上げたと同時に大声を上げてしまった。
「ん?どうかしたかね?」
そう言った試験官の男の顔を見て怒りがふつふつと湧いてきた。
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