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「あんた!一体どういう事だ!『ご縁がなかった』だと?!こっちは他の会社を蹴ってまで来てやってるんだぞ!」 「何を言ってるんだね君は!ここは面接会場だぞ?!わかってるのかね?!」 一方的に捲し立てられて腹が立ったのか、昨日の男も負けずと応戦してきた。 「だいたい人事部のお偉いさんだか何だか知らないけどなぁ!」 そこに騒ぎを聞きつけて警備員が二人、体格が良いのと制服がはち切れそうなのが入ってきた。 「この無礼な男をつまみ出せっ!!」 またしても二人の警備員に脇を抱えられ、俺は会社から放り出された。 「何だってんだ!一体俺が何したってんだ!昨日といい、今日といい!」 思えばこの時、すでに俺は壊れかけていたのかも知れない……。 家に帰り着くと、母親が待っていた。 「おかえり。早かったのね?」 大学に入ったばかりの頃、俺は学校の近くにワンルームを借りていたのだが、最近になって家に戻ってきたのだった。 「父さんは?」 「……今日も帰ってこれないって……」 伏し目がちの母親の目には泣き腫らした跡があった。 「そう……」 父親はここ何年も家に帰ってこない。いや、正確には帰ってきていないのは数か月なのだが、俺にしてみれば何年も会っていないのと同じだった。 「母さんも、やり直せたら良いのに……」     
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