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「お、おかあさん!僕、病院に入院してたよねぇ?!学校の帰りにおっきな犬に噛まれて、それでケガして、ねぇ?!僕、病院で寝てたよねぇ?!」 一瞬あっけにとられた母親が、今度は大笑いしだした。 「いやぁねぇ、この子は!変な夢でも見たの?いいから早く顔洗ってらっしゃい」 俺はその時一瞬、自分でも夢かと思った。すごくリアルな夢を見たんだと。きっとそうだ、そうに違いない。納得は出来なかったけど自分にそう言い聞かせて、いつも通り学校へ向かった。 教室に入ると、黒板に書かれた日付が昨日のままだった。 「先生、日付間違ってるよ?」 俺は担任に開口一番そう言った。 「こら~ワタルくん、朝一番に会ったら『おはようございます』でしょう?それに間違ってないけど?今日は○月×日で合ってるわよ?」 「え……?!」 おかしい。何かがおかしい。絶対に日付は昨日のままだ。 薄気味悪い違和感を感じながら一日を過ごした。 放課後家に帰る途中、例のY字路で足を止めた。 (あっちに行ったらどうなるんだろう?) 小学生の俺は、その時恐怖心よりも好奇心の方が勝ってしまい、また同じ道へ行ってしまった。前から散歩中の大型犬がやってきた。 (噛まれる?!) 予感は的中した。 その犬は俺に襲い掛かり、飼い主に制止されるまで俺を噛み続ける力を緩めなかった。     
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