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俺は夢と同じく、病院に入院してしまった。
あれは正夢だったのだろうか……?
自分の行動をひどく後悔して、やはり寄り道さえしなければ……と強く思いながら痛みに堪え、そして眠りについた。
翌朝目が覚めると、やはりそこは自分のベッドの上だった。
「まさか……」
リビングに駆け込み、思わず叫んだ。
「マッ、マ、ママ!」
「あらどうしたの?恥ずかしいから『ママ』って呼ばない、『おかあさん』って呼ぶんだって、あれだけ言ってたのに」
クスリと笑う母親が恐ろしくさえ感じた。
俺は恐る恐る母親に尋ねた。
「……僕、入院してなかったっけ?犬に噛まれて……」
「……何言ってるの?さては怖い夢でも見たんでしょ?早く顔洗ってらっしゃい」
何が何だかさっぱりわからなかった。昨日夢に見たと思っていた事が現実に起こったかと思うと、それさえも夢だったというのか……。だんだん俺は、自分の『今』がわからなくなっていた。
茫然とする俺を母親は急かして学校に行かせた。教室の黒板に書かれていたのはまたしても同じ日付だった。
「そんな……」
教室で立ち尽くしていると担任が声を掛けてきた。
「おはようワタルくん。どうしたの?」
「……先生……日付……」
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