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わからない事だらけだったが、なんとなくわかりかけていた。
「たぶん、ものすごく強く『思う』だけなんだ。あと、『寝る』事なんじゃないかな……?」
俺は色々試してみた。強くやり直したいと思いながら昼寝をしたり、夜寝る時に、ほんのちょっとだけやり直したいと思いながら寝てみたり。
そうして試していくうちにいくつかの法則の様なものがわかってきた。
・その1
とにかく強く願う事。何度も何度もやり直したいと考えながら寝る事。
・その2
寝て戻れるのは、夜暗くなってから。昼寝ではダメ。
・その3
何度でもどこにでも戻れるが、未来には行けない。
・その4
体験した記憶はなくならない。
つまりこういう事だった。
強く願って一晩眠りさえすれば、どんなに些細なつまらない事でもやり直せる。何度でも納得がいくまで可能だという事だ。
幼いながらにも考え抜いて出た結論だった。少し大人びた事をやりたくなる年頃の俺には刺激的な能力だった。
俺は飽きる事なく繰り返し、そうして現在に至った。
「だけどなぁ……」
記憶がなくならないというのは便利な反面、不便でもある。同じ過ちを繰り返さないという点では便利だが、嫌な思い出は残る。
「まあ、こういう事に多少のリスクは伴うモンだよな…」
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