芭蕉紀行漂泊の憧憬  2

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6、歌枕と古歌  「旅は古歌、歌枕を辿るが如く」、芭蕉は名所・名跡を巡り、句を詠み、句で思いを表現をした。また芭蕉は古歌・歌枕に対しての知識、造詣は深く隋性に記され、深い俳句に盛り込まれている。  古くは和歌において使われた言葉や詠まれた題材、またはそれらを集めて記した書籍のことを意味したが、現在はもっぱらそれらの中の、和歌の題材とされた日本の名所旧跡のことをさしていう。  和歌は古くは、漢語や当時の日常会話で使われる表現、また俗語の類などを出来るだけ避けるようにして詠まれていた。その姿勢はすでに奈良時代の『歌経標式』において「直語を以って句を成す、都(すべ)て古事に無し」とあり、「直語」というのは当時の日常会話に近い表現という意味で、和歌においてそのような表現は古くから用いられないものだということである。
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