芭蕉紀行漂泊の憧憬  2

18/234
前へ
/236ページ
次へ
 そうして和歌の表現が洗練されてゆくうちに、和歌を詠むのにふさわしいとされる言葉が次第に定まっていった。それらの言葉が歌枕であり、その中には「あふさかやま」(逢坂山)や「ふじのやま」(富士山)、「しほがま」(塩竈)などといった地名も含まれる。  歌枕の「枕」とは、常に扱われる物事また座右に備えるものといった意味だとされ、『枕草子』の題名の「枕」もこれに関わりがあるといわれるが、その枕というのが寝具の枕に拠るのか、または違うものからその語源がきているのかは不明である。  『古今和歌集』の仮名序には文章の終り近くに、「それまくらことば、はるのはな にほひすくなくして、むなしきなのみ あきのよのながきをかこてれば…」とある。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加