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まあ、冷たくあしらったと言うのは真琴以外の人物の思うところで、真琴はそういうつもりは全くなかったのだけど。
真琴はやや人付き合いと言うものが苦手で、表と裏の顔を使い分けると言うことが出来なかった。
表面上はうまく付き合っていこうとか、そういううわべ的なことが苦手なので、愛想笑いもできなければ、曖昧な社交辞令の返事を返すこともできない。
「湯浅さん、飲みにいかない?」
「行く理由がないので」
これがダメなのだと言うことをさすがに最近は学んできたが、それでも「行きたいです! でも今日は都合が悪いので、また是非誘ってください」などと言う返事はできないまま。
「湯浅真琴? ああ、あの美人だか何だか知らないけど、お高く止まってる奴だろ? 俺アイツ嫌い」
などと言われていることを聞いたこともあるし、
「湯浅さん? 媚びない姿勢立派だよね。私らフツーの女はあんな風に言ったら、直ぐ男性社員に相手にされなくなっちゃうもん」
と、言われているのも聞いたことがある。
容姿は関係ないのに、大人びた顔立ちは冷たくて、整った造形は嫌味なんだとか……、そんな事言われたって困る、生まれてきたのがこの顔だったんだもん。
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