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歩は笑いだしそうになるのをぐっと頬で堪えて「なんで?」と聞いてみた。
「だって……歩をプロモーションに参加させるために、私を脅しの材料に使ったんでしょ? 頭にきて、つい……グーで殴っちゃって」
歩はそこまで来て、ぷっととうとう吹き出した。
くくくっと笑いを殺そうとしつつ、それが出来なくて腹を抱えながら真琴を見た。
「スッキリしたか? アイツを殴ったところ見たかった」
歩はあくまで楽しそうで真琴は困惑してしまう。
せっかく歩が真琴の為に飛んでくれたのに、それをふいにしてしまうことをしてしまった。
しかも、歩も仕事が満足に行けてない状況で、真琴もまた会社を首になるかもしれないのに。
「せっかく、歩が私の為に飛んでくれたのに、我慢できなくてごめん。それに、二人とも無職ってさ……」
不安そうな真琴を見て、歩は笑いを必死に押し殺してタオルで身を包んだだけの真琴を抱き寄せた。
「俺さ、金に困ってないんだよね。俺のスノボコーチの方針で、スノボが出来なくなっても生きていけるように手に職をつけさせられてさ。実はもう何年も前にゲームアプリの会社を立ち上げて、それが当たって会社自体は売っちゃって、代わりに生きるのに困らないくらいは金があるんだ。今回カナダに行ってたのは、そういうノウハウを持ってるから、コーチに若い子たちに教えてやってくれって依頼されてたからなんだ」
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