そして冬

3/3
前へ
/235ページ
次へ
「だけど?」 歩が聞き返してくる。 「こうやって、何にもしないで歩と一緒に微睡んでいるだけでもいいなぁって」 真琴が静かに瞼を下ろして、安心できる温もりに体をゆだねた。 それを歩が抱き直して、そっと腕に力を加えた。 「それはこれからいくらでもできるから。せっかく長い休みなんだし、ちょっと変わったことやるのもいいんじゃね? 遊んで、旨いもの食って」 「そして、一緒に眠ってね」 「だな。悪くないだろ?」 少し肌寒い空気に、暖かい歩が心地よくて首を傾ける。 すると、歩が顔にかかった髪を指先で動かして、真琴の顔を見下ろす。 真琴は目を閉じたまま、歩の視線を感じてそっと微笑んだ。 終わり
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

787人が本棚に入れています
本棚に追加