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「だけど?」
歩が聞き返してくる。
「こうやって、何にもしないで歩と一緒に微睡んでいるだけでもいいなぁって」
真琴が静かに瞼を下ろして、安心できる温もりに体をゆだねた。
それを歩が抱き直して、そっと腕に力を加えた。
「それはこれからいくらでもできるから。せっかく長い休みなんだし、ちょっと変わったことやるのもいいんじゃね? 遊んで、旨いもの食って」
「そして、一緒に眠ってね」
「だな。悪くないだろ?」
少し肌寒い空気に、暖かい歩が心地よくて首を傾ける。
すると、歩が顔にかかった髪を指先で動かして、真琴の顔を見下ろす。
真琴は目を閉じたまま、歩の視線を感じてそっと微笑んだ。
終わり
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