時計~世界の中心~

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僕も“ 風 ″の吹いた方を静かに追う。 『あ~。…どうやら時計台の裏らへんに行ったなぁ。』 高い樹の横を通りすぎる。 『え、どこで地図なんか見た?』 『さっき、空から見たぞ?』 『ん~。それは羨ましい。』 『あとで一緒に見に行くか。あ、別に時計台の上からでもいいんだぞ?』 『そうしてもらえると助かる。僕は空を飛べないからね。』 『…なんなら我がおんぶでもいいんだそ?抱っこがいいか?』 『いや、それはまたの機会でお願いします。』 シュッと流れる景色を横目で確認しながら、のんびりと会話を続ける。 ________ この国で一番高い大樹の枝に一人の老婆が姿勢良く立っていた。 「さて、あの二人は守りきれるかしら。」 この国で一番大きな時計台を見上げながら言った。
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