11人が本棚に入れています
本棚に追加
色が違うためぱっと見は分からなかったが、このスマホは自分の携帯と同じ機種だということに気付く。
「…………」
電源のボタンに指が伸びた。
何年か前、夫の携帯を盗み見た時の事を思い出した。いけないと思いつつ、つい電源ボタンを押してしまう。
大丈夫。夫の時だって気付かれなかった。
ちょっと見るだけ。彼氏とどんなお付き合いをしているか、少し確認するだけ。ちゃんとカバンに戻しておけば分かりっこない。
それに早苗だって悪い。
親を頼って実家住まいをしているくせに、将来のことも彼氏のことも、肝心なことをちっとも親に話してくれないのだから。
暗証番号は郵便局の通帳と同じだった。
フォルダを開き、受信メールにさっと目を通す。
「…………えっ?」
最初のコメントを投稿しよう!