プロローグ

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 どこにいても目立つ長身と、 持って生まれたオーラ。 黒曜石のような目は印象的で、 妖しいほどの色気がある。 しかも役員の息子であり社長の甥であり、 そして会長の孫というサラブレッドぶりだ。 さらに伯父である社長夫婦には子供がいないので、 次期社長の最有力候補でもある。  だからと言って、 彼はコネで三十三歳にして課長に就けたわけではない。 その証拠に、 入社出来たのは弟である掬月絢斗のみらしいのだ。 長子がどれほどの出来だったのかは知らないが、 オーナー企業といえど無条件に同族を取り立てるわけではない。 単純に、 彼はデキる。 『天は二物を与えず』の言葉を、 身をもって否定しているような男だった。
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