いつわるプラスチック・ハート

プロローグ

　それに比べて私は、

飛び抜けて顔が良いわけでも頭が良いわけでもなく、

というか飛び抜けて運が悪く、

神様がその代償に何かを授けてくれた形跡はない。

無難な栗色の髪はありふれたセミロングで、

趣味は読書という地味っぷりだ。

目だけは大きいけれど身体は普通サイズで、

むしろ胸に至っては普通よりも小さいわけで、

ブラを買うたび切なくなる。

　そんな私なんかが課長を押し倒して、

しかも執事まがいの行為をさせるに至ったのには、

実はちょっとしたワケがあった。