課長が私に仕える理由

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「……なんて顔してるんだ」 「いや、 人の顔のこと言えませんよね?」 「い、 意外に僕はモテるんだぞ。 ホントだぞ」 「そこ突っ込んでませんよ。 言動のことです」  マグカップに口をつける。 飲みごろになったカモミールティーは、 私の心を安定させてくれるだろうか。 「私が助けたのは課長より先に車に気付いたからです。 男も女も関係ありません。 だから、 プライドが傷つく必要なんてないんです」 「分かってないな。 虐めた人間がいくらじゃれていただけだと弁解しても、 虐められた側があれはイジメだと感じれば、 それはイジメなんだ」 「説教は逃走中の轢き逃げ犯にでもしてください。 私よりずっと適任ですよ」 「適任かどうかなんて、 この際どうでもいい。 要は君が悪いんだ」  なんて雑な責任のかぶせ方なんだ。
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