第三章 Halte die Fahne hoch!(1)

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「ホーエンローエ市民に告ぐ。 私はヴュステンフォルト連隊長フォン・ローゼンベルク大佐である。 現在、当市は我らヴュステンフォルト連隊が占領した。 これは私フォン・ローゼンベルク及び連隊将兵に対する大将領閣下の暴虐に対する抗議によるものである。 大将領ヴィルヘルム・フォン・ルフト親衛軍中将閣下は、ホーエンローエ軍管区代将ゲルツェン閣下から不当に指揮権を剥奪し、私を事実無根の罪で処断せんと試みた。 これは我ら『国衆』の武人としての名誉を辱しめ、我らが血の報酬として皇帝陛下より賜る不可侵の自由を蹂躙する許すべからざる暴虐である。 我々ヴュステンフォルト連隊は大将領閣下の暴虐を告発し糾問せんが為、ゲルツェン閣下と共に断固たる措置に訴え出たのである。 現在、ホーエンローエ軍管区隷下諸隊を召集し臨時軍管区総会の開催を準備している。 暫く市民生活に多大なる不便と労苦を強いる事を御容赦願いたい。 我が連隊は不義を糺さんが為、義を奉じて起ったものであるから、市民への乱暴狼藉は全将兵に当然固く禁じている。 殺を為さば斬る、盗を為さば斬る、辱しめたれば斬る。 以上三か条の軍律を遵守し、我が連隊は名誉にかけてホーエンローエ市民の安全を保障する事を宣言する」 大鷲を腕に乗せ地平線を睨む聖将ジギスムントの騎馬像を据えた広場に押し寄せる不安げな民の前に姿を現したのは灰色の髪の若き『国衆(ランツクネヒト)』将校-ヴュステンフォルト連隊長ギルベルト・ヴォルフラム・フォン・ローゼンベルク伯爵である。
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