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竜騎兵将校ふうの詰襟の軍服。
絢爛たる飾緒と金肩章の総飾り。
頸や胸板に燦然と輝く星々の如き勲章。
優雅な歩調に合わせて音を奏でる軍刀。
青空を映す艶やかな銀拍車の乗馬靴。
・・・閲兵式へ赴く『皇帝陛下』の御姿は煌めくばかりに美しかった。
〝わたくしも、『へいか』になりとうございます〟
麗しい礼装に身を固めた父の許へ駆け寄った童女が声を弾ませる。
黒々とした豊かな髪を撫でて、皇帝陛下はなにがしかを囁かれた。
童女が見上げた眼差しの先-八字髭の下の唇はいとも慈愛に満ちた笑みに綻んでいる。
幼い皇女の耳に、父の言葉が届く事はなかった。
出御を告げる式部官の喇叭が、父娘の問答を遮ったのである。
童女が再び問い掛けようとすると、既に父は愛馬に跨がり颯爽と駆け出していた。
遠ざかる華麗な背を、幼子はただ見送る事しか出来なかった。
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