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部長を退いてからも何度か差し入れしてくれたし、カンパだってしてもらった。
俺もいろいろ教えてもらったり、部室の鍵や図書室の非公開図書の閲覧とか世話になった。
みんなが使ってるロッカーだって宮脇さんが自費で入れてくれたんだ。
学校と交渉しても埒があかないって・・・」
「よく分ってます。本当のことです。でも弟がいい人間ではないのも本当のことです。
担任が生活指導の徳田先生でなければ、もっとひどいことしてると思います」
秋月先輩が坂本部長に向かって強い口調で言った。
「だいたい何でここに来たの。松山君みたいに古典が好きな訳でもないのに・・・」
妻夫木先輩が吐き捨てるように言った。
「中学で悪いことしすぎて、近くの高校に進めなかったんだよ」
上坂先輩が笑った。
「おい、やめないか」
坂本部長の大声!怒鳴り声と一緒!
先輩方、肩をすくめた。
「とにかく彼が、松山君のこと、私にいろいろ聞いてきた。
これはハッキリした事実です」
秋月先輩が坂本部長の顏を見て、語気鋭く言った。
「会ったこともない一年のこと、にらみつけながら聞いてくる人間が、フツーの人ですか」
坂本部長は苦い顔で沈黙した。
僕ってあぜん。
宮脇っていう先輩が、何で僕のことなんか?
だいたい僕なんか、さつき先輩以外に興味を持たれるような人間でもない。
なんか悲しいですけど・・・
「心当たりあるの?」
大町先輩が尋ねる。
「うーん。ちょっとね・・・」
秋月先輩ね言葉を濁した。
「適当にかわしといたけど、気をつけてくれる。心配だから・・・」
秋月先輩、そう言って、両手を重ねて拝む格好。
なんだか緊迫した状況みたい。
「腕力がある」とか「暴力的」って人が僕に目をつけてるって聞いて本当に不安になって来た。
「彩良。今度詳しくね!」
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