第1章 第一印象

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大学を卒業して、 とある保険会社に就職が決まった。 色々と考えに考えた結果。 本当はこの国を抜け出して…自分の好きなカメラと共にどこか行ってしまいたかったけれど 両親にとりあえず心配はかけたくなかった。始めは安定した仕事に新卒で就いて、そこからまた何年かしたら考えればいいか。くらいにしか思っていないけれど。 始めは営業から始める。 特に営業がやりたいわけではなかったけれど、バイトもずっと接客業だったし、 パソコンカタカタやってるよりかはお客さんと直接触れ合える仕事が良かった。 そんなわけで、私は今せっせとダンボールに服を詰め込んで引越しの準備をしている。 「この食器とかは持ってくの?あんたこのマグカップ持ってくんでしょー。忘れないでよ」 「はいはい分かってるよー」 とリビングで何やらガサゴソと整理するママに返事する。 「別に使わないんだったらパパが使うと思うけど」とママ。 「なんで娘が彼氏から貰ったやつ毎朝使うかね。他のやつでコーヒー飲めばいいのにさ」 「娘を彼氏に取られたくないんでしょ」 実家で暮らすのもあと1日。明日には実家を出て、 配属先の仙台に行かなければいけない。 我が家のニャンコともお別れか… 寂しくなるな。
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