3.ヒト≒ニンゲン

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 ライトを拾って恐る恐る近づいてみると、整然と並んだ楕円形の装置は、壁から伸びているパイプと繋がっていることがわかった。  何の装置かはよくわからないが、どれもヒト一人が横になれるくらいの大きさがある。  床を這う小さなクジラの群れをみている気分だ。若干気味が悪い。 「どういう用途の部屋なんだ?」  部屋中に張り巡らされたパイプと、クジラみたいなフォルムの装置。  壁に沿って歩いてみると、スイッチが無数についた操作盤らしきものがこかしこにある。  どれも初めて見る物で、さっぱり正体がわからない。 (もしかしたら、これはすごい発見じゃないだろうか)  アオは改めてライトで部屋中をくまなく照らして、観察する。  コードを避けるようにして歩き、ぐるりと一周して戻ってきた時。 「うわっ」  足元のパイプにひっかかり、よろめいた。慌てて壁に手をついて、そして。  ――カチッ 「……っっ!? 今、何か押して!?」  慌てて飛びのいて、ライトを片手に思わず身構えたが――。 「まぁ、普通に考えたら何もないよな」  何せ、『旧人類』の遺跡だ。遺跡にある機械のほとんどはすでに機能を停止しているものだ。  大半は海に沈んだ時点で壊滅している。  ここのようにかなり良い状態で保存されていたとしても、電力の供給がなければ沈黙するのみだ。  と、思っていたのに。  ヴヴヴヴヴ、と、くぐもった駆動音が響き渡った。間違いなく、この部屋からだ。 「え!? ええぇっ!?」  思わず素っ頓狂な悲鳴を上げたアオは、慌てて出口を確認する。  逃げるべきか。水に飛び込んだとして、通路を通って無事に安全な場所に出ることができるだろうか。  ためらっている内に、どんどん音は大きくなっていく。 『――プ、カイ――、ウ――――カイシ』  聞き取れないくらいかすかに、機械音声が何かを告げる。途端、大地震かというような揺れが部屋を襲った。 「……っ!」  地面がぐらつき、ライトを取り落として、アオはなす術もなく床にはいつくばった。そのままどれくらい、床の上で揺れに耐えていただろうか。  ゴウン、と分厚い鉄板を殴りつけたような音が上から響いてきて、首だけひねって上を確認する。そこで、信じられないものを見た。
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