アウトブレイク教室

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「私はナノなのだ。この少女の内に体現した大地の精霊なのだ」  ナノと名乗った彼女は空を切るようなしぐさをし、フッと口の端を上げた。決まったとでも言いたげなように。  あ、中二病。中二病だ。中二病だな。間違いなく中二病の症状である。中二病発症しちゃったか。ともかく中二病である。  このとき、満場一致で彼女は中二病患者第33号に認定された。 「とうとう委員長まで」 「ストレスの臨界点を超えたか」 「だとしたら、私たちもいよいよかもね」 「特効薬も試作の域を出ていない」 「待つのは滅びだけか」 「ときの流れに身を任せるしかないのね」 「すべては、かの者の意思が導くままに」  ひそひそと話しあうクラスメイトらを、教室の外から一人の男性が覗いていた。はあ、と肩を落として溜息を吐く。 「クラス全員中二病になりやがった」  手に持っている出席簿で自らの頭を叩き、担任教師は静かに嘆いた。
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