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半面、エスティマの錬金術は高いという不満が目立ち始めた。
それでコストを押し下げる新技術の開発や今まで以上のプロモーションを求められた。
こんなはずじゃなかった、とプリシラがぼやく。最近の会話は露骨なエスティマ批判ばかりだ。ナノは交際が億劫になってきた。
「プリシラ、今のうちにいっとくけど、あなた永久に転職できないわよ」
ナノはお姉さん役としてプリシラに警告した。
「うっさいわねぇ! 上から目線のナノ嬢はさぞかし充実してらっしゃるんでしょうねえ」
不満は全くないのかとプリシラは切り込んだ。
魔法公社は阿漕な面は全くと言っていいほどない。待遇は民間企業と雲泥の差だし、ノルマの消化や重い責任を現場に転嫁することもない。それどころか決められた業務を真面目にこなしていれば老いるまで第一線で好きなだけ働ける。
しかし、一点の曇りもないといえばウソになる。待遇は典型的な年功序列で決まる。努力や成果が人事考課に入り込む余地はない。
すべて給与は出世コースに乗れるかどうかだ。手腕が評価されることもあるが、それは会社を動かす幹部の特権だ。
だから意識高い系の人材はどんどん流出していく。
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