ナノとプリシラの就活

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「魔法公社もある意味では悪徳企業よ。公平じゃないもの。うちでスキルアップできる人はエスティマでもうまくやっていけるわよ」 プリシラはナノの指摘に驚いた。いいことづくめの国営企業に暗黒面があろうとは。 「ナノ、あなた、よく我慢できるわねぇ」 正直言ってこの子はドMだ、とプリシラは認識した。 「ああら、プリシラさんちの会社もどっこいどっこいですわよ」 ナノの言い分はこうだ。エスティマだって清廉とはいいがたい。 この世界に独禁法の概念はまだないから、錬金術の供給や報酬の設定は自由自在である。人々はパンの代わりにケーキを食するような選択肢を持てない。 そしてたっぷりと吸い上げた売り上げは福利厚生の維持や魔法公社と技術競争するために内部留保されるのである。 「あーあ。どこにも楽な仕事はないってことね」 プリシラはこの国の世知辛さというものを痛感した。 「そうよ。辛いことは仕事以外でパーッと発散するしかないの。今度の蟹曜日、空いてる?」 「ええ、特定のパートナーはいないの。ナノさえよければ?」
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