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「お客さんたちお知り合いですか。そりゃ凄い偶然だ」  屋台の親父も驚いてる。俺は嬉しくて思わず親父に説明した。 「もう、何年? 三年?」 「うんうん。そうれすね」 「三年くらい電話で毎日やりとりしてた人なんですよ。仕事でね! な?」 「うんうん。そうれす。そうれす」 「でも、会社が違うから、顔を合わせたのは今日が初めて。凄いよね! こんな偶然ある?」 「ほお~。そりゃ凄い。運命を感じますなー」  屋台のオヤジが、オヤジのくせにロマンチックなことを言う。でも、俺もそう思った。 「いや、マジで運命的な出会いだと思うよ!」 「うんうん……そうれす……ね」  静谷君は眠いのか左手で眼鏡を持ち上げると、目を擦りながら俯いて「えへへ」と笑った。俺は冗談のつもりで静谷君の肩を掴みゆさゆさ揺すった。 「なんだよー。感動で泣いてんの?」 「そうれすよ~。感動です……」 「え……」  笑いながら顔を上げた静谷君の目からポロッと涙が落ちた。 「え、え? どしたの? なんかあったの?」 「なんでもないれす。だいじょおぶれす」  メガネを上げ、目をゴシゴシ擦りながら首を振る。それは女子のやる仕草だろ。可愛すぎるだろ。テンパってると、オヤジさんがコソッと言った。 「だいぶ飲んでますよ。ため息ばっかついてました」  そ、そうなんだ……。  そういえば。今日の電話での声、なんとなく元気がなかったかもしれない。自分のことで頭がいっぱいで、毎日話してるのに、気づいてやれなかった。  静谷君の肩を撫でながらオヤジさんに言った。 「合わせていくら?」
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