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ソファへ腰を下ろし座り心地や、感触を確かめる。
「あ、ネクタイも……」
静谷君はネクタイを外し、シャツのボタンを外しながらこちらを振り返った。いつの間に外したのか、メガネをとった顔はドキッとするほど幼く見える。
次にシャツのボタンを外し、袖をまくりあげる。その腕も白くて細い。ネクタイを緩めながら、静谷君のパーツにチラチラと目が行ってしまう自分を意識した。
俺の外したネクタイをクローゼットへしまうと、「ちょっと待ってね」と部屋から出て行く。
「こんなのしかなくてごめんなさい」
戻ってきた静谷君の手には缶ビールと柿ピー。隣に座った静谷君はソファの上に女の子みたい斜め座りして体ごと俺の方を向いた。「はい」と手渡される缶ビール。お礼を言って受け取り、二人で乾杯した。静谷君はゴクゴクとビールをあおった。
屋台で相当飲んでいると聞いたけれど、大丈夫なんだろうか。
ゴキュゴキュと音を立てながらビールを飲み顎を下ろした静谷君は、缶ビールに口をつけたまま可愛く首を傾げ、俺を見て「えへへ」と恥ずかしそうに笑った。
「え、なに?」
「なんか不思議だなぁって思って……」
「あー。うんうん。そうだね。ずっと前からの知り合いなのにね」
「うん。僕ね? 麻木さんの事、とっても好きなんれす」
ナチュラルに出てきた言葉に思わず「え?」と半分笑って聞き返した。「あ、そういう意味じゃなくて!」と、慌てて言葉を足す静谷君を想像したから。
でも静谷君はそのまま言葉を繋いだ。
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