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ポツンと頬に水滴。
まぶたを開くと、目の前に見慣れない真っ白な天井と……静谷君の顔があって心底ビックリした。
「あ、ごめっ」
視界からパッと消える顔。勢いよく波打つベッド。ドタッと落ちる音。
音のする方を見ると、静谷君は首にタオルを掛けてベッドの横で座っていた。顔を洗ったのだろう。ちょっと濡れた髪。朝日に照らされた顔は真っ赤だった。
どうやら夕べは、知らない間に眠ってしまったらしい。
「おはよう。今……何時?」
「九時です。あの、あの、麻木さん。ゆうべはごめんなさい。僕……酔ってたみたいで」
しどろもどろの声に、ゆっくり体を起こし、あぐらをかいて大きく伸びをした。
「そんなに酔ってた? シラフなのかと思ってたよ」
「や、まさか。そんな! シラフであんなこと言いませんよぉ」
「酔ってたけど、記憶はあるんだね?」
「……はい」
静谷君はずっと顔が赤いまんまだ。
電話で話している時には絶対気づかない事だ。
こんな風に目を伏せて困った顔したり、目をきょろきょろさせたり、手を口に持っていったり、可愛いらしい表情をクルクルと見せてくれる。こんな可愛い子がずっと俺の相手をしててくれたのかと思うと気持ちが和んだ。
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