26、白い夜

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 運転していただけなのに、ドキドキと鼓動が鳴り、呼吸が浅くなる。 「どこに……行っちゃったんだよ」  恐る恐るスマホを取り出し、何か連絡がないか確認した。  新着マークのあるアイコンを片端から開けてみる。  ニュースやゲームの新着まで。  雅紀からは何も届いてない。 「あーもう」  ワイパーの音が、情けない声をかき消す。  うなだれて、ハンドルにだらりと腕を預け、どうすればいいか考えた。  帰ってただ待つしかないんだろうか?  その時、携帯の画面が淡く光った。  ユリアからのメッセージだった。 《水川さんと、仲直りできた?》  藁にもすがる思いで返信する。 《帰宅が遅いから、湿原センターに来たんだけど、すれ違ったみたい》  一瞬の間をおいて、ユリアから電話がかかってきた。 「水川さん、まだ、帰ってないの?」 「ま、まだ、だと思う。す、すれ違ったのかもしれないけど」 「ひとまず、翼くんも帰って待った方がいいわ。こんな吹雪じゃ危ないよ」 「う、うん。わかってる、で、でも」 「彼女の方が、吹雪の怖さ知ってると思うし」  確かに野外活動の経験は彼女の方が上だ。それはそうだけど。 「い、一応確かめたいんだ、ゆ、ユリア。お願いがある」 「なに?」 「雅紀が見回っている風車の場所、教えて」
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