3、仕事と生き方

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3、仕事と生き方

 そんなわけで超早起きをしてしまった移住3日目。  約束の13時、町役場で僕を待っていたのは、牛乳公舎の人ではなく、田口さんと、郵便局長だった。 「ほれ、引っ張りだこって言ったしょ」  田口さんは、機嫌良く無精ひげを撫でている。  どういういきさつかはわからないけれど、斡旋(あっせん)先を郵便局に変えたようだった。  窓の広い、がらんとした会議室に通されて、折り畳み式のテーブルを挟み、向かい合う。  郵便局長の松村さんは、60代くらいの男性。引き結ばれた口元が、頑固そうだ。
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